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大阪高等裁判所 昭和63年(行コ)57号 判決 1989年5月24日

大阪市住吉区我孫子四丁目一三番四五号

控訴人

(選定当事者)

北野良作

大阪市住吉区住吉二丁目一七番三七号

被控訴人

住吉税務署長

太田敬紀

右指定代理人

佐藤明

国府寺弘祥

西尾了三

濱田猛司

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  控訴人

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人が昭和六〇年一〇月三〇日付で北野藤治郎に係る昭和五八年分所得税について控訴人及び原判決別紙選定者目録記載の五名に対してした更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分を取り消す。

3  訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

二  被控訴人

主文と同旨。

第二当事者の主張

次のとおり付加・訂正するほか、原判決事実摘示と同じであるから、これを引用する。

一  原判決四枚目表五行目の「収入印紙代」の次に「二万円」を加える。

二  同一六枚目表三行目の「一四四・一六平方メートル」を「一四五・一六平方メートル」と改める。

第三証拠関係

原審訴訟記録中の書証、証人等各目録及び当審訴訟記録中の書証目録記載のとおりであるから、これを引用する。

理由

一  当裁判所も、控訴人の本訴請求はいずれも棄却すべきものと判断する。その理由は、次のとおり訂正・削除するほか、原判決理由説示と同じであるから、これを引用する。

原判決一〇枚目表七行目の「前記認定のとおり、」から九行目の「これに照らすと、」までを「借地権価格は、借地人に帰属する経済的利益が交換価値に転化したものであり、借地人に帰属する経済的利益は、借地権の付着している宅地の経済的価値に即応した適正な賃料と各支払期に実際に支払われる賃料との乖離及びその持続する期間を基礎にして成り立つもので、その発生形態としては、地価の上昇に賃料が伴わないで、いわゆる借り得分を生ぜしめ、その一部が借地人に帰属することによる等の自然発生的なもの、あるいは、権利金が借地人の土地に対する投下資本と認められ、借地権の価格として認識されること等による創設的なものが見られるが、本件土地については、前記認定のとおり権利金の授受がなされておらず、また、鑑定の結果によれば借地権設定後本件譲渡までの経過期間が短くて、その間あまり地価上昇が見られなかつたことが認められること等に徴し、右いずれの形態の借地人に帰属する経済的利益も発生するに由ないから、」と改め、一一・一二行目の「前記松宮は、」から末行目までを削り、同裏七行目の「経済価値」を「経済的利益」と、一二枚目表三、四行目の「一四四・一六平方メートル」を「一四五・一六平方メートル」と各改める。

二  よつて、原判決は相当で、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、控訴費用の負担につき民訴法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 今中道信 裁判官 上野利隆 裁判官仲江利政は転補につき署名押印できない。裁判長裁判官 今中道信)

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